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ナイチンゲール看護研究所
Florence Nightingale Archive
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“著述家” としてのナイチンゲール

 ナイチンゲールといえば、一生を臨床現場で看護師をしていたかのように思われがちですが、実は人生の大半の時間を、一室に籠って仕事をしていた人で、クリミア戦争から帰還して後の生活においては、彼女が起居する自室そのものが現代にいえば、さながら国民の健康と医療の制度をめぐって探求する “シンクタンク” のようでした。

 自らの提言で政府内に様々の諮問委員会(時には勅撰委員会)を組織し、情報を収集し、調査表を作成し、それらを整理してまとめ、そして報告書を書く……という仕事を、何人かの才能ある親しい人々の援助は受けていましたが、基本的には自らの意思と企画によって成し遂げていきました。しかもそれらは際限もなく続き、眠る時間さえないほどの仕事量のために、一旦衰えた体力は回復せず、体調不良の状態は慢性化していき、クリミア戦争以降、二度とユニフォームを着て病院という現場に立つことはなかったのです。

 多忙かつ過酷で、体調を整える時間的余裕はほとんどない状態の中で、自らの健康は省みず“国民の健康の実現”というテーマに取り組み、重要な提言をし続けた人……、それがナイチンゲールの生きた真の姿でした。

 しかも手がけたテーマは実に多彩で、「陸軍兵士の健康問題、病院組織や看護組織のあり方の問題、植民地インドにおける人々の健康と幸福の問題」など、最下層の国民の生活と健康に関する内容が多く、政府に向けて膨大な提言書を書き、依頼された原稿や講演録を執筆し国民にとって重要と思われるテーマについては著書を出版する、結果的にナイチンゲールは150点を超える印刷文献と、12,000通以上にも及ぶ手稿文献を書き残しています。

 彼女が書き遺した著作(印刷文献と手稿文献)全部を合わせたものを、「ナイチンゲール文書」(Nightingale Papers)と呼びますが、実に多彩な領域に及んでいることにも驚かされます。
 しかも、その内容たるや今日的視点から見ても決して色褪せて古びたところなどなく、それどころかそれらは不朽の名著の数々であり、この事実からナイチンゲールは、まさに偉大な「著述家」であったと言うこ とができるのです。

 さて、ナイチンゲールの著作をつぶさに調査し全著作を読んで整理した最初の人が、W.J.Bishop氏で、
彼の死後にその仕事を引き継いで1冊の本にまとめたのが彼の秘書であったSue Goldieという女性でした
 それは、
『 A Bio-Bibliography of Florence Nightingale 』
(ナイチンゲール文書目録)というタイトルで、1962年に出版されています。 

















     F.N.直筆の手紙(63歳)
     
 Bishopは、ナイチンゲールの150点の著作に1番から150番まで番号を付け、それらを内容に応じて9項目に分類し、すべての作品にアブストラクト(要約)を添えています。これにより、ナイチンゲール文書の全貌をつかむことが容易にできるようになったのです。
 
9 グループの文献 作品数 邦訳数
 (1) 看護に関する文献
 (2) 英国陸軍に関する文献
 (3) インドおよび植民地の福祉に関する文献
 (4) 病院に関する文献
 (5) 統計学に関する文献
 (6) 社会学に関する文献
 (7) 回顧録と献辞
 (8) 宗教および哲学に関する文献
 (9) その他の文献
47編
11編
39編
 8編
 3編
 9編
 8編
 4編
21編
28編
 4編
 1編
 2編
      
 5編
 1編
 1編
 5編
                        合 計   150編   47編

一見しただけでも、ナイチンゲールが手懸けた領域が、いかに広かったかが見てとれます。「仮にこれを全集に編纂するとすれば、およそ60巻もの膨大な量に換算できる」ようですしかもこれの文献は、すべて完全に保管されていて、ナイチンゲール文書からナイチンゲール思想をつかみ取ることは具体的に可能で、それらは「著述家としてのナイチンゲール」の顔を浮かび上がらせています。

 このようにナイチンゲール文書の主要な著作が翻訳されて、かつかなりの人々によって読まれている国は、世界広しといえども日本だけに起こっている現象です。そのことによって成し遂げられた日本のナイチンゲール研究の質と量も世界一といえるでしょう。

「著述家ナイチンゲール」によって表現された看護思想の真髄は、わが国における研究の営みを通して今なおその輝きを失うことなく後世の人々に語り継がれ、引き継がれているのです。



   
              
   
     
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