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病院建築家としてのナイチンゲール
ナイチンゲールの知られざる顔の最も冴えたる面は、彼女が"病院建築家"であったという事実です。ナイチンゲールが考案した"ナイチンゲール病棟"は、『病院覚え書』(改訂版・1863年)に図面入りで記されています。
ナイチンゲールは、「病院は患者に害を与えてはならない」と訴え、その最たる害は病院の建築構造によるものだと考えました。空気のよどみができるような建物の構造では、その中で療養する患者の回復過程は順調に進まないばかりか、汚れた空気が身体の回復の妨げになるというのがその根拠です。ではどのような構造の病院を造ればよいと考えたのでしょうか。
ナイチンゲールが考案した病院建築物は、なんと間仕切りなしの200畳もの広さをもつワンルームであり、患者のベッド1つにつき、1つの窓がセットされるという構造でした。ベッドは病室の左右にそれぞれに15ずつ並んでおり、一つひとつの窓は高い天井まで延びた3層の窓でした。一番高い3層目の窓を常時開放しておけば、病室の空気はいつでも外の自然の空気と同じ新鮮さに保たれるように設計されていたのです。
さらに『病院覚え書』には、患者一人の療養空間として相応しい数値(面積では約6畳分)や、ベッドの高さやベッドとベッドの間の距離についても、理想的な計算値が述べられています。ここで特筆すべきは、これらの図面がただ単に理想的な病院構造として描かれたのではなく、この"ナイチンゲール病棟"は、当時の聖トーマス病院をはじめとして、世界中の病院建築に取り込まれ、実際の建物として現実的に機能したという点です。
まさにナイチンゲールは病院建築の設計士であったのです。
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ナイチンゲール病棟
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ナイチンゲール病棟の内部
長澤泰著 ナイチンゲール-世界初の病院建築家-
『ナイチンゲールって、すごい』 照林社より |
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